1日目
<栄養学及び実習>
7.離乳食について説明しなさい
(1)離乳食の役割とは
@水分の多い乳汁だけでは不足する栄養を補う。
A胎生期に体内に貯えた種々の栄養成分がなくなり不足する鉄分等を他の食物で補う。
B乳歯が生えるのに刺激を与える。消化酵素を増強し、消化機能を訓練する。
C乳児の知能の発達に伴い普通食に関心を持ち始めるため。
(2)離乳食の開始とは
・生後5ヶ月頃、体重7kgに達した時期が目安。重湯、おまじり、かゆなどを与え始める。
(3)離乳食の完了とは
・1日3回米飯やパンを主食にするようになった時。満1歳ぐらいが目標。
8.以下について説明しなさい
(1)たんぱく質の補足効果
・ある食品のアミノ酸価が低くても、別の食品を一緒に食べると不足分を補い、アミノ酸価を高めることが
出来るという効果。
※必須アミノ酸 体内で合成されないため食物中から必ず摂取しなければならないアミノ酸
→バリン、スレオニン・リジン、フェニールアラニン、トリプトファン・メチオニン、イソロイシン、
ロイシン、ヒスチジン(乳幼児)
覚え方の例: バス・リフト・メイロ + ヒ(乳幼児)
(2)α−でん粉
・でん粉は、穀類、イモ類、豆類にデンプン粒の状態で多く含まれている。アミロース(ブドウ糖が直鎖状に
結合した状態)とアミロペクチン(直鎖に枝分かれを持つもの)の割合が1:4ぐらいで存在する(餅米の
でん粉はほとんどアミロペクチン)。
・生の状態ではアミロースとアミロペクチンが規則正しいミセル構造をしており、水に溶けにくく、消化・吸
収しにくい。これを「β−でん粉」と呼ぶ。これに水を加えて加熱すると水を吸収し、膨張してミセル構造が
ほぐれて消化されやすい状態になる(でん粉の糊化)。この糊化したデンプンを「α−でん粉」とよぶ。
9.幼児期の間食について説明しなさい
(1)間食の必要性
・身体が小さいわりに栄養の必要量の多い幼児期は1日1〜2回の間食(おやつ)を与え、栄養を補うこと
が必要である。
(2)与え方
・1日1〜2回程度。摂取量は、所要エネルギーの10%〜15%程度が望ましい。量が多すぎると食事中
に食欲を失い偏食になりやすいので注意が必要。
10.母乳分泌を促進させる方法を箇条書きで記入せよ
・母乳で育てるという母親自身の意志
・偏りのない栄養と適度な運動と適度な睡眠
・妊娠中の準備(妊娠末期に軽く搾乳し乳管を開く など)
・新生児に積極的に母乳を吸わせる。分娩直後、特に初産時には重要。分娩後1週間は根気強く母乳を
吸わせる。
・人工乳はできるだけ使用しない(安易に人工乳を与えると子供は母乳の吸飲の努力を放棄する。やむを
得ない場合は糖水を補う)。
2日目
<保健衛生学>
3.乳幼児による下記の事項を防ぐには、どのような注意・工夫が必要か述べなさい
(1)お風呂における溺水
・少ない量の水でも溺れる可能性がある。大人が常に見ている、大人が度々声を掛けて返事を求めるなど
の監視が必要(私見です)
(2)たばこの誤飲
・乳幼児の手の届く場所にたばこ(吸い殻を含む)を置かない(私見です)
4.母乳栄養の欠点について述べなさい
・母乳には乳酸菌の一種であるビヒズス菌が腸内細菌として存在するため、ビタミンKを合成する作用を
持つ大腸菌が少なくなる。そのため、乳児が頭蓋内出血を起こす恐れが生じる。
※ビタミンK:血漿中のプロトロンビンの生成に関与し、欠乏症は出血要因を起こす。腸内細菌によって
合成されるため、新生児や特別な病人の他は欠乏症は稀れにしかみられない。
5.保健所の業務を5つ上げなさい
保健所は、「地域保健法」という法律に基づいて地域住民の健康の保持及び増進を図るため設けられて
いる。その主な仕事は以下のとおり。
@適切な医療が確保されるための病院・診療所などの医療機関に対する相談、指導
Aエイズ、結核その他の感染症に関する相談及び感染症予防のための衛生教育や知識の普及
B安全な食品の提供や食中毒などを防止するための指導と旅館、食堂などの営業の許可
C心の病や難病をもつ方とその家族がよりよい社会生活を営むための生活指導や支援
D検診や健康診断等の身近な保健サービスを提供する市町村に対する専門的、技術的な支援
<生理学>
3.心臓の構造と機能について述べなさい
・心臓は左右に分かれており、左には動脈血が、右には静脈血が入り、左右の間は中隔でしきられている。
・左右には心室と心房があり、収縮と弛緩は心室と心房では交互に、かつ左右では同時に行われる。
・この周期的な運動が心臓の○動であり、成人男子では1分間に60−70、女子では70−80回運動する。
4.食物の消化とはどういうことか、基質、消化酵素、関連する器官に言及して述べなさい
・生物体が生命を維持し、成長して活動を続けるためには、食物を食べ、その中に含まれている成分を利
用して、消耗した体成分を補い、組織を増殖し、活動するのに必要なエネルギーを獲得しなければならな
い。この食物中の成分を「栄養素」という。
・五大栄養素:有機物→糖質(炭水化物)、脂質(脂肪)、蛋質(蛋白質)、ビタミン、
無機物→無機質(無機塩類)
・摂取食物の消化は、口腔から始まり、主として胃や腸の各部位で消化作用を受ける。消化された食物の
各栄養素は吸収可能な状態となって、活性吸収機能(能動運送)により小腸粘膜から吸収される。
・消化酵素とその作用 消化酵素 基質 最終分解産物
@口腔 唾液(ph6.8)(唾液アミラーゼ(プチアリン)) →でん粉→ マルトース、麦芽糖、デキストリン
A胃
胃液(ph3-5)(ペプシン、レンニン、リパーゼ)→ 蛋白質→ペプトン、凝固乳、脂肪酸、グリセリン
B小腸(膵臓) 膵液(ph8前後)(リパーゼ、トリプシン) →脂肪
→ 脂肪酸
(小腸壁)腸液(ph5-6.5)(マルターゼ、ラクターゼ)→麦芽糖、乳糖 →グルコース、ガラクトース
5.食中毒を起こす細菌名を5つ上げなさい。また、夏に細菌性食中毒が多い理由を述べなさい
・細菌性型食中毒
@感染型 腸炎ビブリオ(魚介類)、病原性大腸菌(大便中の菌)、サルモネラ(感染した豚・牛・卵)
A毒素型 ブドウ球菌(人や動物などの化膿巣)、ボツリヌス菌(ソーセージ、ハム、肉の缶詰)
※化学性食中毒 @化学物質 添加物(人工甘味料、添加物、着色)、毒物(メタノール、ロクショウ(緑青)
A自然毒 動物性(フグ毒、毒魚)、植物性(毒キノコ、毒ゼリ)
<児童心理学>
2(2)基本的生活習慣の発達過程において、以下のような場合、どのように対応すべきか述べなさい
@食事のしかたが下手で時間がかかる
・大人が手本を示してやり、正しい態度、実践をしてもせながら、繰り返し忍耐強く働きかける。
・食べやすい食器の形、大きさなどを工夫する。
・子供のやろうとする意志を見逃さずに、その状態を見て工夫することが必要。
A偏食がある
矯正は急がず、あせらず、根気よく行うことが大事である。
・離乳期からなるべく広範囲の食物をとるようにする。
・親や周囲のものが偏食しないようにする。
・嫌いなものは少量ずつ与える、目立たないように調理、他の食品に混ぜる、使用回数や量を少なくする。
・嫌いなものは無理に食べさせず、食べたらほめる。
・親しい友達と一緒に食事をさせる。
・給食や遠足、お誕生会など、行事食を通して与える。
・環境をかえる(例えば、天気の良い日に庭に出て食事)
・空腹時に与える。
・話の分かる年齢であれば、偏食の害について話をする。
B3歳児が昼寝をしない
・午睡に関しては個人差が著しく3−4歳頃から午睡をしない子供もいる。ただし、午睡の時間には、横に
なって皆と一緒に休息させることは必要である。
・午睡の時は、手を引いていって寝床に入れてやり、お話ししたり、本を読んで聞かせる。カーテンを引き、
テレビ・ラジオは消して、気が散らないようにあたりを静かにして就寝しやすいようにする。
4.以下について説明しなさい
(1)内発的動機づけについて述べなさい
・引き起こされる活動それ自体が目標である場合であり、何かのためにするのではなく、したいからすると
いうことをいう。典型的には、好奇心による場合のように、見たいから見る、したいからする、知りたいか
ら知ろうとする。
(2)外発的動機づけについて述べなさい
・主として外からの力によって動機づけられる場合で、引き起こされる行動は目標に到達するための手段
という意味を持つ。例えば、賞や罰による場合、賞を得る、あるいは罰を避けるということが目標となり、
そのために役に立つ行動が動機づけられるということになる。
・この種の動機づけには、その性質から、いくつかの教育的な問題点が内在している。その一つは、外部
からの力によって動機づけられるということから、他律的あるいは依存的傾向を助長するということ、また
一つには、引き起こされる行動が手段的行動であるということから、望ましくない行動が引き起こされる可
能性があるということ、などが考えられる。すなわち、外発的動機づけを強調・多用していると、言われな
ければ、あるいは賞や罰がなければしないという傾向が助長されやすいという問題性があることに注意し
なければならない。
(3)子どもの学習意欲や自立心、あるいは集中力を促進させるために内発的動機づけと外発的動機づけを
どのように活用するか述べなさい
・子供の学習意欲を促進させるためには、達成動機の存在が不可欠である。達成動機には、前述した内
発的動機づけによるものと外発的動機付けによるものがある。
・子供の学習意欲を促進させるためには、内発的動機づけである「好奇心」を促進させることが望ましく、
これは直接的に学習の自立心や集中力に結びつくものである。
・これに対して、外発的動機づけである目標を与えることも有効である。目標を達成することは成功経験
であり、今後の学習意欲につながる。しかしながら、目標を達成できなかった場合には、失敗経験となり
学習意欲を減退させる恐れがある。目標の高さを適切なものにすることが必要である。
5.次の語句について説明しなさい
(1)アニミズム(汎心論)
・子供が、全てのものに“心”があると考えるということ。ピアジェによる、子供の思考発達(精神発達)段階
区分の、前概念(Pre-concept)の段階の時期に生ずる心性。(直感的調整作用)
(2)レディネス(教育準備性)
・子どもがそれぞれの行為の必要性を理解できるようになる発達段階。
<精神保健>
3.児童虐待について4つの種類をあげ説明しなさい
@身体的暴行 児童の身体に外傷が生じ、又は生じる恐れのある暴行を加えること。
A性的暴行
児童にわいせつな行為をすること、又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
B養育の拒否や放置 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置その他の
保護者としての監護を著しく怠ること。
C心理的虐待 児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
5.統合保育について説明しなさい
・統合保育とは、障害児と健常児を一緒に保育することである。形態には、完全統合と部分的統合がある。
・統合保育により期待される保育・教育効果
@自分より発達のレベルが高い行動を観察する機会が増え、行動をまねることにより発達が促進される。
A仲間との社会的やりとりが増え、仲間から相互によりよく受け入れられる。
Bお互いの個性を認めあい、尊重しながら協力することの喜びと大切さを学ぶ。
・統合保育の促進のためには
@健常児が受け入れやすい情報の提供や体験、保育者の行動の工夫が必要。
A障害児の課題従事や社会的やりとりを維持するためには保育者の援助が必要。
Bおもちゃ遊びなどの条件を整えることは社会的やりとりを促すが、遊び活動がまとまりを持ち、構造化
する援助・指導が重要である。