財政とは、国または地方公共団体がその存在と活動のために必要な財力を取得、管理、使用するための一切の作用を示す。
財政は行政の領域に属する作用であるが、それは国家統治の根本に影響をおよぼすものであり、国民の経済生活に重要な関係を持つものであることから、財政の重要事項は議会のコントロールの下におくことが近代憲法の基本原則の一つである。これを財政立憲主義と呼ぶ。
日本国憲法は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない」と規定し、財政の処理を国会のコントロール下に置くことを定めている。このことから、日本国憲法が徹底した財政立憲主義(国会中心主義)を採用していることは明らかである。この一般原則は各規定により以下のように具体化されている。
@租税法律主義
租税とは、国または地方公共団体がその経費を支弁するため、国民から権力を持って無償で徴収する財貨を指す。
憲法30条において「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」と規定し、租税については「法律主義」を採ることを明らかにしている。
さらに憲法84条では「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と規定している。その結果、租税の種類、課税の根拠、納税義務者、課税標準、徴収手続きなど租税に関する事項は一切が原則として法律で定められなければならない。
A国費の支出と債務負担行為に関する国会の議決
憲法85条は「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする」と規定している。
B皇室経費の議決
皇室財産(天皇及び皇族の財産)は国有とし、皇室の費用は予算に計上して国会の議決を経なければならないことになっている(憲法88条)。
C公金の支出制限
財政は国会のコントロール下におかれているが国会の議決によればいかなる財政処理も認められるとうことではない。
憲法89条は「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」と定め、公金の支出に関し制限を加えている。
予算とは、一会計年度(4月1日に始まり、翌年の3月31日に終わる)における歳入歳出の見積りを主たる内容とする国の財政行為の準則を示す。89条は「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け、議決を経なければならない」と定め、予算が国会の議決によるべきことを規定している。
予算の種類は以下のとおりである。
@通常予算
毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる予算をいう。
A暫定予算
何らかの事情で予算が成立しない場合に作成される予算をいう(財政法30条)。
B補正予算
通常予算成立後に生じた不測の事態に対応するために作成される予算をいう(財政法29条)
なお、これら以外に予備費制度が設けられている(憲法87条)。
予算の成立のためには、以下のような手続きを必要とする。
@発案
予算の発案権は内閣にある。閣議決定されたのち、内閣総理大臣により国会に提出される。
A審議・議決・公示
予算は両議院の議決によって成立するが、両院がことなった議決をした場合には衆議院の優位が認められている。予算が成立すると、天皇による公布はなく、官報によって公示されるのが常例である。
憲法は、国の財政処理の事後コントロールのために、決算の審査に関する規定を置いている。また91条に置いて財政民主主義を制度的に保障している。