13031 生物学

課題1.食物連鎖関係について述べよ。

 生物の相互作用には、協同・競争・社会環境などがあるが、食物連鎖関係も生物の相互作用の重要な働きの一つである。

 食物連鎖関係は、食うものと食われるものの関係である。物質およびエネルギーの流転という立場からみると、終局には太陽光につながる。この関係を以下に説明する。

 生態系を一つのシステムとしてみると、生産者、消費者、分解者(還元者)および無機物質の4つのレベルからなっており、この構造の中で、生態系の物質代謝が進行する。

 これらの関係は以下のとおりである。

@太陽エネルギーの受け入れ

 生産者(緑色植物)が、太陽エネルギー、炭酸ガス、水、栄養塩類から有機物を合成する(光合成)。

A捕食者による補食

 生産者(緑色植物)は捕食者である動物群(草食動物)によって消費され、この動物はさらに肉食者(肉食動物)によって補食される。場合によっては肉食者はさらにレベルの高い肉食動物によって補食される。

B分解者(還元者)による分解

 生産者(緑色植物)および消費者(草食動物、肉食動物)の死体は、分解者(還元者))(細菌などの従属栄養的微生物)によって分解され、生産者の利用しうる物質変えられる。

 この食物連鎖構造のそれぞれのレベルは、栄養代謝の立場からは、栄養段階としてのレベルをなしているともいえる。すなわち、生産者としての緑色植物は、第1栄養段階にあり、草食動物は第2栄養段階、肉食動物の低レベルのものは第3栄養段階、高レベルのものは第4栄養段階にあるといえる。

 しかし、実際の食物連鎖はこのように単純なものではなく、食物網ともいえる複雑な構造を持っている場合が多い。例えば、動物は食物連鎖の中で消費者の立場にあるが、少なくとも草食動物と肉食動物の2つのレベルがある。すなわち、第2栄養段階にあるものと第3栄養段階にあるものとがある。

C.Elton(1927)は、食物連鎖の関係を生物群集の構造と機能を維持する基本原理として強調している。

 個体レベルに立って考える限り、被食者にとって捕食者の存在がある方が、生存に有利であることはありえない。ところが、群のレベルに立って考えると、自然の複雑な平衡関係のからくりを経て、捕食者の存在が被食者の存在(少なくとも生産量の増大)に都合がよい場合がある。

 例えば、オクラホマの高稈禾本草原の牧草の生産に対する家畜の影響をみると、家畜のいない草原より、適当に家畜に食われた草原の方が、秋を除いて牧草の生産が盛んである。

 Odum(1953)は、食物連鎖に補食連鎖、寄生連鎖、腐生連鎖の3つの類型があるとした。

@補食連鎖

 食物連鎖関係のうち、捕食者と被捕食者による食物連鎖の関係を示す。一般的には食物連鎖はこれを指す場合が多い。

A寄生連鎖

 寄生とは、生物体から栄養分を吸収することである。寄生連鎖とは、寄生者と宿主による食物連鎖の関係を示す。寄生者は宿主から栄養を得るが、一般的な食物連鎖関係からは外れていて、栄養の提供者の方が体が大きく、個体数が少ない場合が普通である。

B腐生連鎖

 腐生とは、死体や生命力のない有機物から栄養を吸収することである。腐生連鎖とは、腐生者と被腐生者による食物連鎖の関係を示す。腐生者は通常は死んだ生物(被腐生者)から栄養分を採るが、生きた生物から栄養を採ることもある。

 食物連鎖関係は、進化の原動力として大きな力を持っていると言われている。食う食われるという関係は生物相互関係の中でもっとも対立の厳しい関係であり、生物はこの関係を乗り越えるために適応を表し、これが進化の歴史を作っているといえる。

 

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